足の痛みは下肢閉塞性動脈硬化症が原因?

下肢閉塞性動脈硬化症

1. はじめに

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皆さんは下肢閉塞性動脈硬化症をご存知でしょうか。痺れ、冷感、疼痛を経て、最悪の場合、潰瘍や壊死に繋がる病気です。
この記事では、下肢閉塞性動脈硬化症の症状の一つ、痺れを中心にご説明します。

2. 下肢の動脈支配

心臓から拍出された血液は、大動脈弓を経て胸、腹と流れ、下肢へと流れ込みます。

領 域 名 称
腹部領域 腹部大動脈(AA)
総腸骨動脈(CLA)
内腸骨動脈(骨盤内を循環)(ILA)
外腸骨動脈(ELA)
膝上領域 総大腿動脈(CFA)
深大腿動脈(DFA)
浅大腿動脈(SFA)
膝窩動脈(Pop-A)
膝下領域 前脛骨動脈(ATA)
後脛骨動脈(PTA)
腓骨動脈(Pero.A)

腹部大動脈から遠位に支配している動脈です。下肢閉塞性動脈硬化症は、このいずれか、もしくは複数個所にアテロームを形成し、閉塞することを指します。

アテロームとは、動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪やカルシウムなどが蓄積したもので、動脈硬化性プラーク(粥状動脈硬化巣)とも呼びます。

3. 下肢の神経支配

脳から出力された、動き、触覚などの運動や感覚は、脊椎を経て遠位の神経に伝達されます。下肢に関係する部位は、腰神経叢(Th12-L4)と仙骨神経叢(L4-S3)です。この腰から下の神経を支配する神経叢を、腰仙神経叢と呼びます。

神 経 支 配 領 域

坐骨神経 大腿の後面、屈筋群に分布。膝窩から脛骨神経と総腓骨神経に分岐する。

総腓骨神経は、浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐する。
脛骨神経 下腿後面の屈筋群に分布。
浅腓骨神経 下腿の外側の腓骨群に分布。
深腓骨神経 下腿前面の伸筋群に分布。
閉鎖神経 大腿内側の内転筋に分布。
大腿神経 大腿前面の伸筋群に分布。

このいずれか、若しくは複数の神経が圧迫、損傷することで下肢の神経障害が生じます。

4. 何故痺れが生じるのか

下肢閉塞性動脈硬化症は、血管内腔にアテロームを形成し狭窄または閉塞する疾患です。人間の組織は、髪や爪などを除き、血管をとおる血液により酸素を受給し、各組織で代謝された二酸化炭素を回収します。

しかし、動脈の血行動態が不安定になると、その動脈の支配領域にある組織は貧血状態になります。動脈の狭窄であれば、完全に阻血することはないと予測されますが、閉塞してしまうと完全に血流が遮断されることになります。

血流が遮断されるとどうなるかというと、最悪の場合壊死を引き起こします。細胞は一度壊死すると回復することは不可能なので、治療方針によってはその部位を切断することもあります。
その前段階の症状として、痺れを含む神経障害や、冷感・創傷治癒不良などの循環障害が引き起こります。

代表的な症状として、間欠性破行(かんけつせいはこう)が挙げられます。間欠性破行は、歩行時に現れ安静時には症状が警戒する特徴があります。これは、筋肉を使う運動時に十分な血液が供給されないことで、筋肉の一過性の貧血状態および、代謝に伴う乳酸などの老廃物が蓄積されることで引き起こります。故に、安静時には引き起こらない、または症状が軽快することがわかります。

 閉塞性動脈硬化症の症状(Fontaine分類)

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自覚症状
Ⅰ度 痺れ、冷感 血流障害により左記症状が生じる。血流障害の程度は比較的軽いことが多く、症状は軽度またはほぼ無症状であることが多い。

Ⅱ度 間欠性破行 下肢血行障害の特徴的な症状の一つ。一定の距離を歩行する時に、特定の筋肉(該当動脈の支配領域)に疼痛、痺れ、こわばりなどが生じる。一時的に歩行困難になるが、安静にすると血流が比較的保たれるため軽快する。

Ⅲ度 安静時疼痛 循環障害が悪化すると、安静時にも十分な血液が供給されず、痺れや神経障害が生じる。Ⅲ度では、知覚低下などの神経障害や、循環障害による創傷治癒不全、また同一体位での血流不全で潰瘍や壊死が発生しやすい。

Ⅳ度 潰瘍形成 Ⅲ度よりも悪化した状態。潰瘍や壊死を引き起こす可能性が高く、また創部の治癒が遅くなり感染するなどの合併症を引き起こす。切断なども予測される。

  閉塞性動脈硬化症の分類です。この度合いによって治療方針が変わってきます。

5. おわりに
いかがだったでしょうか。下肢閉塞性動脈硬化症は、痺れなどの比較的軽い症状を経て、最悪壊死に繋がる疾患です。また、同時に忘れてはいけないのが、下肢の血管に硬化が生じていれば、全身の血管にも同様の症状が起こりかねないという事です。

足の痺れが小さな症状だと思わずに、全身状態の観察も必要不可欠です。

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