足のしびれは脳からの痺れが原因に?

一言で「足の痺れ」と言っても、例えば正座などの同一体位で一時的に起こりすぐに改善されるものから、重大な疾患の1つの症状として現れるものまで多岐に渡ります。
この記事では、脳疾患関連で引き起こされる痺れについてお話します。

2. 神経性の下肢の痺れとは

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先にもお伝えした通り、下肢の痺れの原因は様々です。

一時的な痺れで、私たちが最も多く経験している痺れと言えば、同一体位による「血管性の下肢の痺れ」です。これは、下肢の循環障害により引き起こされるものです。

一方、この記事のメインである脳疾患で引き起こる下肢の痺れは、「神経性の下肢の痺れ」です。血管性の痺れは比較的局所に症状が生じますが、神経性の症状の場合は両下肢であったり、半身であったりします。

また、血管性の痺れは安静時には軽減する傾向にある事と比較し、神経性の痺れは安静とは関係なく断続的に出現することがほとんどです(疾患や、投薬の状況によって変動します)。

神経性の痺れとは、血管や筋肉などの組織の損傷などとは別に、神経そのものが損傷、圧迫することで引き起こります。また、一言で「痺れ」と言っても、ビリビリ痛んだり、触覚が麻痺したり、損傷部位以下の運動機能が失われたりと、多岐に渡ります。

3. 運動に関する脳の働き

脳は、大きく分けると“大脳”“小脳”“間脳”“脳幹(中脳、延髄、橋)”に分かれます。痺れという運動機能に関しては大脳が重要で、“前頭葉”“側頭葉”“頭頂葉”“後頭葉”に分かれます。

痺れと運動は密接に関係しています。例えば、正座して足が痺れている時に、瞬発力を求められる運動はほぼ不可能ですよね。では、運動とは脳のどの部分を活用しているのでしょうか。

3-1.神経伝達

神経とはどのように伝達されているのでしょうか。脳はおよそ3000億個の細胞で成っています。この細胞を、シナプスという神経伝達物質が行きかうことで、脳から各神経線維に信号を出しています。これが、神経伝達です。

3-2.前頭葉

前頭葉は、前頭前野の両側、大脳半球の前部にあります。側頭葉の前側、側頭葉の上前方に位置します。前頭葉と頭頂葉の間には、一時運動野(補足運動野とも呼ばれます)があります。

一時運動野は、特定の身体部位の随意運動を制御しています。身体を動かす命令はこの一時運動野を介して、脊髄を経由して送られます。運動野の右側は左半身を、左側は右半身を支配しています。一時運動野は、前頭連合野と共同して運動を実行し、①大脳基底核と共同して、行動の計画をする②小脳の働きと共同して感覚情報に基づく運動の最適化をする、という2つの働きがあります。

3-3.頭頂葉

後頭葉の上部、前頭葉の後部に位置します。頭頂葉の前部には全身からの感覚情報が集まります。頭頂葉は4つの境界によって定義されており、中心溝は前頭葉との境界、頭頂後頭溝は後頭葉との境界、外側溝は側頭葉との境界、大脳縦列は左右の大脳半球の境界を作っています。

一次体性感覚野は、大脳縦列、中心溝、外側溝、中心溝を含む、感覚受容野です。そのうち、中心溝が運動に関する役割を担っており、中心溝の前壁は先に説明した一次運動野があり、筋肉を動かすための神経伝達を行います。そして中心溝の後壁が一次感覚野となっており、身体からの感覚情報を受けとる仕組みになっています。

3-3.大脳基底核

大脳基底核は、大脳皮質と視床、脳幹を結び付けている神経叢です。運動機能の抑制を行っています。

3-4.小脳

後頭葉の尾側に位置しており、知覚と運動機能(平衡、筋緊張、随意運動の調節)の統合を担っています。小脳が損傷を受けると、平衡感覚に異常が生し、精密な運動が困難になります。
しかし、平衡感覚に異常をきたしても意識や知覚には異常を認めないという特徴があります。

4. 痺れを引き起こす疾患(脳)

神経性の痺れ(つまり運動機能・感覚が障害された状態)はどのような時に症状が出るのでしょうか。

4-1.脳が障害を受けた場合

脳の働きは先にご説明しました。痺れの原因が脳にある場合とは、脳内で運動に関する部位が損傷、圧迫、壊死した場合です。

脳梗塞では、脳に酸素と栄養を送る動脈が詰まって血流の遮断による壊死、低酸素状態が起こり、その動脈が支配していた部位は正常な機能が出来なくなります。

脳出血(くも膜下出血、硬膜外出血、硬膜下出血)では、運動野に無関係でも出血による頭蓋内圧亢進が起こります。それにより、運動に関する部位が圧迫され正常な機能が出来なくなります。

また、止血されていても血腫となる事で脳が圧迫されても同様です。この場合のポイントは、頭蓋内に限られます。理由は、頭蓋内圧亢進が起こるためです。つまり、頭蓋骨の外側、いわゆるたんこぶと呼ばれるものは、頭蓋内圧亢進は起こらないため症状が出現しないことはご理解いただけると思います。

上記の疾患では、下肢に限局して痺れの症状が出るわけではなく、全身にも症状が出現する可能性があります。

5. 脊椎

ヒトの背骨には脊椎が通っています。脳から延びた神経線維が、首から下のすべてを支配しています。

その内、下肢に関係する部位は、腰神経叢(Th12-L4)と仙骨神経叢(L4-S3)です。この腰から下の神経を支配する神経叢を、腰仙神経叢と呼びます。

神 経 支 配 領 域

坐骨神経 大腿の後面、屈筋群に分布。膝窩から脛骨神経と総腓骨神経に分岐する。
総腓骨神経は、浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐する。
脛骨神経 下腿後面の屈筋群に分布。
浅腓骨神経 下腿の外側の腓骨群に分布。
深腓骨神経 下腿前面の伸筋群に分布。
閉鎖神経 大腿内側の内転筋に分布。
大腿神経 大腿前面の伸筋群に分布。

このいずれかの神経が圧迫、損傷することで下肢の痺れが生じます。

6. 痺れを引き起こす疾患(脊椎)

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直接下肢の神経に障害が生じる疾患では、椎間板ヘルニアやすべり症、脊椎管狭窄症、坐骨神経痛などが挙げられます。これは脳の働きは正常のため、ここでは区別します。

坐骨神経痛では、坐骨神経、と神経が限定されているため坐骨神経支配領域に障害が生じます。

しかし、ヘルニアや脊椎管狭窄症、すべり症では、障害されている場所によって症状が出現する部位が異なります。
神経の障害では、出現部位は神経支配されている部位に限られますが、症状は痺れを含む感覚障害や痺れによる疼痛、運動障害が挙げられます。

7. おわりに

いかがだったでしょうか。痺れと言っても原因によって症状が出現する理由が異なります。
この記事を読んで、痺れに対する知識を深めていただけたら幸いです。

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